穏やかな春のある日、ルクリア先生は病院で静かに息を引き取った。僕は最期までそばにいて、ルクリア先生の手を握っていた。

ルクリア先生が亡くなった後、僕の頭を誰かが撫でた。僕の頭を撫でてくれたのは、病室に置かれた花たちで、僕はこの時に植物を操る力を手に入れたんだ。

そして、僕は特殊捜査チームの一員として今日を生きている。



「そのようなことがあったんですね……」

サルビアが話し終わった後、フィオナは呟く。賑やかな子どもたちの声が響く中、フィオナはどこか切なげなサルビアの瞳を見つめていた。

サルビアの中で、きっとルクリアの存在は今でも大きいのだろう。自分の母親のような人だったのだから……。

「そんな顔しないで。悲しい話じゃないから」

フィオナの方を向いたサルビアが、優しく頭を撫でてくる。自分は無表情のはずなのに、とフィオナは不思議に思いつつも「はい」と返事をする。

「じゃあ、また仕事で」

サルビアはそう言い、手を振って歩いていく。フィオナはその後ろ姿を見送り、オレンジティーに口をつけた。