校門を通ったところで、前方に見慣れた後ろ姿がふたつ。



それは瑞樹と幼馴染の、柳川絢人漢字(ヤナガワアヤト)と渡夏深漢字(ワタリナツミ)






「あ。」


瑞樹の視線も同じところを見ていて。










さっきまで隣にいた彼は2人の元へ駆け寄る。すぐに追いついて二人の間に入り肩を組んだ。








その光景を少しで後ろから見るはいつものことなのに、胸がざわつき足を止めた。






「はよ!絢人、夏深」



「はよー、ねみい」



「瑞樹暑いから離れて」



「えー俺ら仲良しだろー?」









離れようとする夏深の肩を更に引き寄せて楽しそうに笑う。


幼馴染だけの雰囲気があって私はおまけみたいなものなんだ、とたまに考えてしまう。








「…あれ」


ブツブツのノイズが入る右耳のイヤホン。












少し先の瑞樹も違和感を感じたのか立ち止まっていた。

左耳のイヤホンを触って振り向く。
その視線はすぐに私を捉えた。










「莉子ー!なに止まってんだよ!

電波悪い!早く来いよ」



「…!」










大きな声で私を呼ぶと無垢な笑顔で大きく手招きをした。










「あ、莉子!おはよー!」



「早く来いよ遅れるぞ」








瑞樹の大声のせいで絢人と夏深も振り返って私に気付く。

3人が立ち止まって私を待つ。











「ごめん、おはよう」



小走りに追いつくと、瑞樹の大きな手が私の頭をバウンドした。








「あんまり離れると音楽止まるだろ」




「み、瑞樹が先に行ったんじゃん!」




「あーはいはい。これからはちゃんと音楽が再生される範囲にいろよ?」





「…私のイヤホンなんだけど」






「さー、今日も頑張ろー」









大きな手が離れていく。
私の言葉をスルーして歩き出した瑞樹を目で追った。










さっきよりも熱く感じるのは、

きっと太陽のせいだと火照る頬を仰ぎながらおもった。