私はしばらくして、ようやく泣き止んだ。
山谷さんは、私の頭を優しく撫でてくれている。

「何かあったら、必ず俺に言って。美雲のためなら、何でもするよ。」

「うん…。」

山谷さんは、抱きしめる力を更に強くした。

「いっ、いたいよ。山谷さん。」

私は優しくそう言った。

「和真って呼んで。」

突然の提案に、少しびっくりした。

「和真…」

いざ呼んでみると緊張する。
私には、仲間ができたんだ。
私はもう、1人じゃないんだ。
嬉しさがこみ上げてきて、

「大好き。…ありがとう。」

そう和真に言った。
和真は、驚きを隠せない様子。

「美雲の口から大好きなんて言葉が出てくるとは思わなかった。…でも、すごく嬉しい。」

嬉しそうにする和真を見てると、こっちまで嬉しくなる。

「やっぱり、美雲は、俺の1番大切な人だな。」

「なんで、私のことが好きになったの?」

思い切って、聞いちゃえ!

「可愛いから。誰よりも。」

「どこが?」

またまた聞いちゃった。

「全部。」

えっ?全部?

「美雲は、俺のこと、なんで好きなの?」

「私のことを、誰よりも気にかけてくれてるし、好きって言ってくれるから。」

和真は、優しく微笑んだ。
和真のおかげで、心が開けたし、笑顔でいられるようになった。
和真の顔を見て、思った。
和真って、すごくかっこいい。
かっこよくて、モテそうなのに、彼女が私なんかでよかったのかな?
でも、そんなこと言ったら、和真が悲しむよね。
和真は私のこと、見てくれてたんだ。
私が知らない間も…
和真のことを考えると、心がほっとする。
和真は私にとって、ヒーローみたいな存在なんだ。