宮島 美雲(みやしま みく)
山谷 和真(やまたに かずま)
私には友達がいない。小学2年生のときからずっといじめられていた。どうしていじめられているのかはわからない。仲間が1人もいない。そんな日々が続いていた。中学生になっても、いじめは終わらない。でもある日、
「俺と付き合おうよ。」
同じクラスの山谷和真に、告白された。
私はうなずくことしかできなかった。
人の悲しむ顔を見たくなかったから。
そう思っただけなのに。
その人に、溺愛されてしまった。
気持ちに応えたいのに。
その人と笑顔でいたいのに。
なかなか気持ちを切り替えられない。
いじめられていたときの恐怖が襲ってきて。
私は、ぐんぐん悩んでしまった。
助けがほしい。仲間がほしい。
そんな願い、叶うはずないのに。
なぜか、願ってしまった。
心を開かないと。
山谷さんも、悲しんじゃう。
少しずつ、慣れていかないと。
―――ぎゅっ
「え?」
誰かに抱きしめられている…?
「山谷…さん…?」
「悩みがあったら、何でも言ってね。」
山谷さん、気づいてくれていたの?
「うん…。」
「俺は、美雲の、味方だから。」
抱きしめる力が強くなる。
今までこらえていた涙が、私の頬を伝っていく。
「大丈夫。俺がついてるよ。」