「華ちゃんの餃子、皮から作ってるからでかくてうまいよね」
詩織が一番乗りで餃子を一つつまんだ。
「家で皮から作ってるの?なにそれすごい!」
希子も続いて箸を伸ばす。二口でも難しいくらいの大きさの餃子からたっぷりの肉汁が出てくる。
「華さん、もう勝手に食べてるけど、餃子食べてもいい?」
「ははは、たくさん食べなさい、これの三倍くらいまだあるから大丈夫」
華の太っ腹なところが好きで、何かにつけて用事を作って遊びに行くことが多かった。
そんなある日、詩織の子供、桜にこそこそ話がしたいと持ち掛けられた。
親に言えないような相談事でもあるのだろうかと思っていたのだが、小学生らしい無垢な恋愛感情だった。
自分が小学生の頃は全く恋愛に疎く、そのままの情報で更新をせずに生きてきていたら小学生と言えども何もアドバイスが出来なかったかもしれない。
様々な本と漫画と小説に感謝した。
「あのね、なかなか声をかけられない子がいるの」
「それはクラスの男子?」
「そうなの…」
そう言って口の辺りを手で覆って顔を赤くしている可愛らしい姿を見せてくれた。
「おはようは?」
「おはようは…時々、でも毎日おはようって言いたいんだ」
とても無垢だ。



