喫茶店でコーヒーと紅茶とラスクを食べた後、街娘という恋愛コメディ映画を堪能してから希子の自宅に二人で帰ってきた。

「助かったよ、お米とトイレットペーパーと食材、全部まとめて買い物できた」
「流石にこの量は持ち歩くのが大変だったけど、役に立てたのなら何よりだ」

 冷蔵庫を開けて野菜を詰め込む一樹の横で希子が麦茶を取り出し二つのグラスに注ぎ入れる。

 一つをテーブルに残し、片方のグラスを持ったままベッドに腰かけて二口飲んだ。

「映画の最後ね、まぁコメディだから当たり前なんだけどさ。五右衛門風呂でのキスシーン、あんなにべろんべろんにキスしなくたっていいのにね、ふふふっ。ギリギリ保ってたいい雰囲気が台無しだったよ」

「そう言ってても凄い笑ってただろ?」
「笑った!めちゃくちゃ笑った!今思い出しても笑える、あははは!」

 手からこぼしそうになった麦茶を一度テーブルに置き直す。

「あー、ヤバい。今日の映画好き」

 楽しかった映画を思い出している希子の前に一樹が膝をついて立つ。

「こんな感じだったっけ?それで、ここでべろべろって」
「ぷっ、くくくく…そうそう、べろべろって……」



 一樹がペロッと舌を出して希子の唇を舐める。


 楽しく笑っていた希子の顔がみるみるうちに赤くなっていった。