訳あり無表情少女と一途な旦那 〜異世界編〜

親子に歩み寄ると、母親が子供を背に隠し

「誰ですか?」
「大丈夫、危害は加えない。傷を治すだけだ」
「…」

母親は恐る恐る子供を前に出す
子供は泣きながら

「だぁれ?」
「遠すがりの者だ、痛いとこを治してあげる」

子供は腕を押さえてるが、全体的に傷だらけだ
何故こんな…

「ひっく…痛いよぉ…」
「大丈夫」

子供に手を翳し《ヒール(治癒)》を掛ける

「どう?」
「痛くない!治ったぁ!ありがと!!」
「どういたしまして」

子供ははしゃいでピョンピョン飛び跳ねる

「ありがとうございます!」
「貴女も」
「え?」

母親の傷も治す

「私まで…!ありがとうございます!なんとお礼をしたらいいか!!」
「いえ」

親子がギュッと抱き締め合ってるの横目にソルさんの元に戻ろうとすると
様子を見ていた他の者達が集まり始める

「あの、私も治してもらえないでしょうか?」
「私も、うちの子が酷い怪我を負ってるんですっ」
「俺の傷も治してくれないか!?」
「あ、あの…えっと…」

ソルさんを見ると、苦笑しながら頷くのが見えた

「大丈夫。全員治すから、慌てずに順番に並んで」
「「「はい!」」」