「シオリ、レンとシオンも…
 ソルからお主達が生きてきた世界の事は聞いておる
 魔物、ましてや魔力など無縁の世界なのだろう?
 それを考えれば、2人が悩んでおるのも容易に推測出来る
 …それにレンとシオンは分かりやすい」
「「え…?」」
「ふっ、ワシはこれまで様々な者達に会ってきた
 するとな、他人の顔色も自然と分かる様になったのだ
 特に、何か思い詰めておる者は顔や態度に出やすい」
「「…」」
「シオリ、言ってみなさい」

姉さんは一瞬俺達を見て、国王を見る

「首を…はねました」
「「!」」
「ふむ シオリ」
「はい」
「それ以外に方法があったと思うか?」
「…ラルフにあの魔物は知性が無いと聞きました
 本能で動き、追い払ってもいずれ襲ってくる
 殺らなければ…殺られると」
「そうか。シオリ…、よくやった」
「…っ」
「あの魔物は確かに知性が無い
 しかしだ、彼奴等は群れで襲ってくる
 怪我を負わせられ、作物を食い荒らされ…、様々な被害があったのだ
 シオリ、前にも言ったが…今のお前は性格や雰囲気が以前とは違う
 育ってきた環境も平穏とは言い難いモノだったんだろう」
「…、」
「勿論、生まれ変わってきた事は嬉しい
 だが、少しの間だけでも…ワシから見た今のシオリは
 やはり愛おしい愛娘に変わりは無いのだ
 改めて言うぞ
 よくぞ対処してみせた
 よくやったな。シオリ」
「…っ」

姉さんは何かを堪える様な表情で俯く

「大半の魔物は我等に害を与えるモノ、敵なのだ
 昨晩の事は、皆が感謝している
 シオリ、皆が安心して幸せに暮らしていける様に、今後もその力を貸してはくれぬか?」
「…私は自分の持ってる力が当たり前のこの世界を知って、嬉しかった
 生まれ変わりと言っても、以前とは違う筈の私を皆は受け入れてくれた
 私は、皆を護りたい
 皆を護る為に、私に出来る事をやりたいです」
「うむ、その決断に感謝する。レンとシオンも良いか?」

俺は姉さんを見る
姉さんは俺の視線に気付き、真っすぐな目で微笑む
姉さんが辛くなければ、俺はいい
蓮もきっと同じ思いだ