訳あり無表情少女と一途な旦那 〜異世界編〜

傍観者side
栞に薄らと黒い魔力が纏わり付き、ブワッ!と衝撃波が放たれる

「な…、何なんだ…っ、お前…っ」
「…」
「クソッ…!お前等行けっ!!」

数人が栞に襲い掛かるが
ダァンッ!と横の壁に吹っ飛ばされる

「!? な…何、したんだよ…っ!?」
「…」
「…クソッ!」

ドグは魔法を放つが、栞に当たる寸前で弾け消える

「クソッ!クソッ!クソがぁっ!!!」

何発撃とうが、無意味

「クソッ!テメェに当たんねぇならっ!!」

ドグが蓮達に手を向けると

「おい」

栞がドグの前に一瞬で跳躍し、手を捻り上げる

「うっ!?ぐぁ…っ!」
「今、誰に攻撃しようとした?」

ミシッミシッと骨の軋む音が

「ぐ…っ、テメッ…離せ…!」
「これ以上…、俺を怒らせるな」

ドグの横腹に蹴りが入り、ドゴッ!と壁に激突する

「ぐ…っ、ゲホッ!…ゴホッ!」

ドグが顔を上げれば、殺気を向けてくる栞が
ガタガタガタッとドグが震える
栞はドグの胸に足を乗せ、グッと力を込める

「…っぐ…!止め…、ろ…っ…!」
「だったら、魔水を寄越せ」
「…っ、無ぇよ、んなモン」
「…」

《サイコキネシス》を足に纏い、更に押さえつける
ミシッ…ミシッ…バキッバキッ!

「! あぁあああああああっ…!?」
「さっさと答えねぇからだ
 早く言わねぇと…、肋全部折るぞ」
「…っ、クソ…ッタレがぁっ!!」
「…へぇ」

栞がドグの右肩に指をトン…と付けると
ズバッ!
ゴトンッ…とドグの右腕が床に落ちる

「!? うぁああああああああああっ!?!?!?」

ドグは悶え、体を動かそうとするが
栞が動きを封じてる所為でロクに動けない

ちなみに、蓮達には死角になってる為
腕が落ちたのは見えていない

ドグはあまりの激痛に意識が飛びそうになるが
栞が《テロメア》を使って強制的に意識を保たせている

「これでも、まだ無いって言うか?」
「…あぅ…、ぐ…、もう…」
「あ?」
「も…う、止め…て、く…れ…」
「止めてほしかったら、さっさと出せ」
「…お…れの…、部屋…、金…庫…」

栞は蓮達に向き

「コイツの部屋の金庫、お願い」
「俺が取ってくる」

紫音が奥へと消えるのを見届けて

「カイの背中にあった魔法陣は消した
 もうあの子を、お前の好き勝手にはさせない」
「…はっ…、それ…で?ガキを…どう、しよって……だ」
「それは私達が決める事じゃない」

栞はカイを見る

「どうしたいかは、カイ自身が決める」

ドグに向き

「他人がどうこうしていいもんじゃねぇんだよ」

紫音が慌てて戻ってくる

「無い!」
「!? おい、この状況で嘘吐いてんじゃねぇよ」

ミシッ…ミシッ…バキッバキッバキッ!

「…っ!」

ドグが言葉にならない悲鳴を上げる

「さっさと言え、本当はどこにある」
「…っ、違…っ、ボス…が、持…て、たん…だ…っ」
「ボス?」
「ほ…とに、1…個、あっ…た……」

ドグがチラッとカイを見る

「俺…は、ボ、か…ら、貰って…、が…
 あの…ガキの…親…か…ら、奪…てた…モン…だ…って…」
《!?》
「ボ…ス…が、親か…ら、ガキ…を、盗…ん、だ…」
「…その親は?」
「…っ、ゲホッ!」
「答えろっ!!」

ドグはヒューッ…ヒューッ…と息も絶え絶えになっている

「栞、これ以上は無理だ…」
「…っ」

栞はドグの頭に手を置き、記憶を探る