訳あり無表情少女と一途な旦那 〜異世界編〜

「魔法発動時には必ず、光属性の精霊を喚ばなければならないのだ
 精霊が祝福してくれる事で魔力の質や量が一時的に上がり、完全に治癒出来るのだ
 無論、精霊を喚ばずとも治癒は出来るが、どうしても傷痕が残ってしまう
 でも、以前からお前がする時は何故か精霊を喚ばずとも完璧に治癒が出来ていたのだ」
「…」
「ソルからの報告では《ヒール》を使っただけでは疲れていなかったと聞いておる
 精霊の祝福を受け、通常よりも多い魔力を使ってしまう為
 一度使っただけで大抵の者は疲れ果てる
 以前のお前も、疲れ果てる様子は見せた事が無かった」
「…国王は、
 様々な者が《ヒール》を使用している際の状況を全て把握してるんですか?」
「いや、そういう訳ではない
 ただ《ジュノ国の姫だけが精霊を喚ばずに完璧に治癒出来る》と
 噂が絶えなくてな」
「…ですが、噂にしか過ぎませんよね?」
「噂は噂でしかないが、それ以外にも判断出来るモノがある。ほれ、来たぞ」
〔我が主!!〕

後ろを振り向けば、目の前に大きな影が