蓮side
隠闇の面をゆっくりと外すと、栞は俺を見上げる

「? どうしたの?」
「分かってねぇのか?お前は今、泣いてんだぞ?」
「え…」

栞が瞬きする度に溢れていく涙
栞は目元に指を持っていく
指に付いた涙を茫然と見る栞をグッと抱き締める

「蓮、何で…」
「紫音も同じなんだけどな
 面を着けてても
 お前の顔は見えてんだよ、不思議とな」
「…」
「我慢しなくていい、泣きたい時は泣け
 面を着けてても見えてるし
 どんだけ表情や気持ちを隠してても…、俺達には分かるんだから」
「姉さん」

紫音が栞の頭を優しく撫でる

「我慢、しないで?」
「…っ、」

栞が俺の胸に頭を押し付け、震える

「…っう、うぁああああああああああ…っ!」

そういえば、栞がこんなに泣くのを見るのは初めてだ
ふと周りを見ると、風が壁みたいに動いてるのが分かる
紫音を見れば、ニコッと笑顔で

「防音を加えた《ウィンウォール(風壁)》だよ」

いつの間に…