「ありがとう。」

一言。

3人だけでなく、
クラス全員が千鶴から返ってきた言葉に驚きを隠せない様子だ。

「え、、えっ！？
なんでありがとうなの？
私達あなたに本当に酷いことを、、」

「本当に酷いことって気づいてくれたんでしょ？
ここまでするのは形だけじゃできない。
私の気持ち、しっかり理解してくれたんでしょ？
だからありがとう。」

「いや、そんな、、」

意表をつかれてなんて返していいか分からないさつき。

「でも、これで全部許そうってわけにはいかない。
まだ怖いし。」

「うん、分かってる。」

「だからまた0から、
いやマイナスからだけど改めてクラスメイトとして仲良くして欲しいな。さつきちゃん。」

本当は怒りたいのかもしれない、
今までの仕返しをしたいのかもしれない、
でもそんなの微塵も感じさせず気丈に笑う千鶴の優しさ、温かさが皆に沁みた。

「うん、うん、、、よろしく。ち、千鶴ちゃん。」

みんなもほっとしたのか、いつもの朝のようにガヤガヤし始めた。

その中心にいるのは、もちろん千鶴。

人生初の経験、今の主人公は私。