「鶴の声は深い谷間の底で泣いても、天まで届く、高くて綺麗な声って言われるくらいだ。
お前の叫びもきっと届くさ、みんなに。
あの日、俺に届いたみたいにな。」

初めて言われたよそんなこと。

初めて好きになったよ、この声を。

「まあ、声以外はうぜーけどな」

そう笑う彼の胸にそっと顔をうずめた。

「ちょっと貸して」

小さく泣いた。

あまおとに負けるくらい小さく。

彼は無言で受け止めてくれた。

私が今まで一番言われたかった、求めていた言葉。

否定しかされてこなかった私を肯定してくれた。

ありがとう。

本当にありがとう。