「おい!前見ろ、信号!」

「離して!」

先輩の手を振り払ったタイミングでちょうど青になった。

もう早く帰りたい。




「羨ましいよ。」

えっ?

こんな激しい雨音の中、

彼の声はよく通る。

「俺はお前が羨ましい。」

うらやましい?

「2年前かな、
俺、お前が屋上で歌ってるの聞いたんだ」

あのときは自分の声に自信があって、
音楽の授業でいい点取りたくて自主練を。

「お前の鶴みたいな声が心底羨ましい。
でも、そんな恵まれた声を持ってるのに使わないお前がうざい。」

鶴、、?