鶴の音返し

浸ってた私が戻ったときには、
彼はすでに後片付けを終えようとしていた。

不純な動機ではなく、
ただこの感情を伝えたくて
鞄から取り出したノートにペンを走らせ見せた。

(素敵な声ですね)

精一杯の褒め言葉、
なのにどうしてそんな不満そうな顔をするの?

「どうも」

その一言だけ残して、
彼の背はどんどん小さくなっていった。

一瞬モヤッとしたが、
光の加減で見間違えたのかもしれない。
と、そんな感情すぐに消えた。