鶴の音返し

ガラガラッ

静かで幸せな空気を病室の扉が邪魔をした。

「やっほー」

普段通りお見舞いにきた先輩のお兄さん。

数歩歩いてようやく気づいた。

「おまえ、、、」

溢れる涙を堪えながら、
病室の外にいた父を引っ張ってきた。

「早くこい!」

「なんだ。」

「いいから!ほら見ろよ!」

奇跡を目の当たりにしたからではない、
純粋に息子がまた目を合わせてくれる。

そんな小さなことが嬉しくて、
涙を零し一言。

「良かった。」

ボロボロ泣く二人から視線を外し、
こちらも一言。

『うざっ』