鶴の音返し

「千鶴ちゃん!待って!」

家族以外は面会できず、
為す術なく帰路につこうと
儚げに歩いていた千鶴を呼び止めたのは、

「おにいさん」

振り向いたその顔は、
グシャグシャで
今にも崩壊してしまいそうだった。

「これ」

「これは?」

差し出された灰色の箱。

こんな状況じゃなかったら
中に指輪でも入っていそうだ。