「ね、さっきの続きの話しよーよ」
「つづき?」
アイスを口に含ませながら、なんの話してたっけ、と視線を宙に彷徨わせる。
「あおちゃんの理想のデート聞きたい」
「……なにそれ?」
無意識のうちに眉を顰めてしまう。
「さっきそんな話してなかった、よね?」
「いーじゃん、あおちゃんのそういう話聞いたことないし」
「ええー……」
「参考にさせてよ」
ね?と懇願されるように見つめられ、結局押しに負けて折れたのはあたしのほう。
「……引かない?」
「それは話の内容によるかな」
「じゃあ言わない」
「うそうそ。引かないって」
ほんとに?と疑わしげな視線を向ければ、ほんとだって、と軽い調子で言う。
全くもって信用できない。
だからこのまま無言を貫こうと思ったのに、
「ほら、もうすぐ家着いちゃうよ」
焦らされたあたしは、参考にはならないと思うけど、と前置きをして渋々口を開くことにした。



