それに不服などございませんでしたが、ある日、「他の星を知りたい」との衝動をおぼえて月を跳びだしたのでございます。

 足取りは意気揚々、心はほんのちょっぴり怖々と。
 一人旅は長く、白鳥座を周り、北斗星に詣でて、幾星霜さまよい歩きました。

 その先で出会ったのです。

 だれに? もちろん、わたくしのいまの雇用主。
 その名を「御星《おほし》さま」とおっしゃられます。

 天の川周辺の那由多もある星々を管轄《かんかつ》する、『御星カンパニー』という銀河系大企業の御曹司であらせられる、地上で言うなればハイスペックなイケメンです。