天の川のうさぎ、お星様とキスをする

「暗くたっていいさ。あんまり明るいと、願いをかけてる良い子のみんなに見られてしまう」
「なにをでしょう?」
「キス」
「!?」

 わたくしの唇に、小さな、小さな口づけが降ったのは、そのすぐあとのこと。
 それから、二人がどうなったかは……わたくしの口からは申し上げられません。

 七夕の夜空に、明かりのとぎれた天の川をご覧になって、残念に思われた方はいらっしゃいますでしょうか。

 ナナオからのお願いでございます。
 どうか、今晩だけはお許しください。

 その暗がりの奥には、目には見えなくとも、ささやかな恋の火が灯っているのです。