「はは、お礼いいすぎ。あ、俺6組の水上大輝。よろしくな」
「木下桃菜です、2組です」
「木下ね、覚えた。今後見かけたら声かけるからよろしくー」
そういった彼はそのまま困っている人たちを助けるヒーローのようにいろんなところで活躍をしていた。
なんだかあっという間の出来事で、幻だったのではと錯覚してしまうほどだった。
「かっこいいね、あれはモテるわ」
「…だね」
かっこいいと素直に思った。誰にでも分け隔てなく助ける彼は、きっとみんなを虜にするだろう。
でもそれと同時に思った。みんなに対して優しいし、きっとみんなに対して名前を覚えて次声かけるなんていってるんだろうなって。
そしたらわたしのことなんて忘れるんだろうなって。



