あの夏、わたしはキミに恋をした。



「離れろ」

「離れない!」

「…頼むから、離れてくれよ」

あの日と同じように、わたしは大輝を抱きしめた。

後ろから強くぎゅっと。

「わたしはね、どんなにひどいこといわれてもいいよ。それで大輝の気持ちが落ち着くならそれでいい。大輝が嫌だと思ったっていい。本当のわたしはこっちだから。本当のわたしはとても自分勝手でわがままだから」

「桃菜…?」

「これから話すのはわたしの独り言だと思って聞いて?」


そういって大輝の体から離れて椅子に座りなおす。

大輝はなにもいわなかった。


わたしは過去の扉を開いた。