「桃菜ちゃん?」 「あ、おばさん…」 ドアが開いたことさえ気づかずぼーっとしていたわたし。 大輝のお母さんとはまだ一度しかあったことがなかった。 それでも覚えてくれていたことに嬉しさがあったのに、今の私は素直に喜べない。 「ちょっといいかしら」 「はい」 病室をでて広いロビーの椅子に座った。 子供たちが走り回っているのを看護師さんが追いかけながら怒っている。 その横ではお年寄りがほほえましそうにその光景を眺めていた。