あの夏、わたしはキミに恋をした。



「わたし木村遥っていいます。よかったら仲良くして!」

「あ…、木下桃菜です。こちらこそ、よろしく…」

「桃菜っていうの?めっちゃ可愛い名前、羨ましい!」

「遥ちゃんのほうがかわいいと思うけど…」


この子の勢いに圧倒されつつも、なんとか言葉を繋いで会話しようと頑張った。

きっとこの子は一番後ろの席で前に話しかけるしかないからわたしに声をかけてくれたんだ。


そう思うとこの席を与えてくれた神様に感謝だ。



「はは、ありがとう!遥でいいよ、わたしも桃菜って呼んでいい?」

「わかった、うん、もちろん」


屈託のない笑顔で笑いかけてくれるこの子に緊張がどんどんなくなっていき、そのあとも会話は弾んで、入学式の前にはずいぶん仲良くなっていた。