あの夏、わたしはキミに恋をした。



「電車動いてるの?」

「うん、一応ね。ただまあ滑って転んだりしても危ないし無理そうなら休んでもいいんじゃない」


お母さんは昔から緩かった。

勉強しろなんて言われたことは一度もないし、学校に行きたくないといえば無理して行かなくていいといってくれた。

あのときのわたしはその優しさにどれだけ救われたかわからない。



「とりあえず遥に電話してみる」

朝ごはんを一旦中断して遥に電話をかけた。


「もしもし?」

「もしもしー?桃菜ー?」

明らかに寝ぼけた遥の声を聞いて、学校休む気だなとすぐにわかった。

「今日学校いく?」

それでも一応聞いてみると返ってきた答えは予想通りで。