あの夏、わたしはキミに恋をした。



「木下さん」

「冴島先輩、わざわざ今日はきてくれてありがとうございます」

「全然いいよ、息抜きしたかったし!」


そういって笑う先輩は10年前とまったく変わらなくて優しかった。


「でも俺だいぶなまってるし不安しかないよ」

「先輩なら大丈夫です、それにみんなも同じ感じですから」

「それもそうか」


冴島先輩と話していると「桃菜」と声をかけられた。

冴島先輩は「じゃあまたあとで」といってこの場を離れた。

先輩にぺこりとお辞儀をしたあと、ふりむくと顔なじみの2人がいた。


「ごめんね2人とも、結婚式控えてるのに」

「いいよ、それに久々にみんなと野球できるなんて最高じゃん」

「そういってもらえてよかった」


そう、今日はこれから現役高校生対社会人という名目で野球の試合をする。


そのために上野くんや冴島先輩、ほかの部員にも声をかけた。

もちろん仕事でこれない人、遠くに引っ越しちゃった人、育児をしてるなどの事情でこれない人もいたんだけど。


それでもみんな社会人になってから野球なんてしてないから無理だよー、といいつつ集まってくれた。


先生にも声をかけて、学校を使っていいといってくれた。


それはたったひとりのため────大輝のためだ。