あの夏、わたしはキミに恋をした。


「突然すみません」

「…いいのよ。桃菜ちゃんにはずっと申し訳ないことをしたと思っていたの。謝りたいなって」

おばさんはそういうと家にきたのに追い返してしまったこと、野球ができなくなること、急にいなくなってしまったことなどを謝ってきた。

「正直いうとあの頃はあの子がやりたいと思うことをやらせてあげたいと思うのと同時に、それでもあの子には野球をしないでほしいっていう気持ちもあったわ。もう歩けなくなってもいいなんていったときは暗闇に落とされたみたいで。野球をやらせてあげたいです!って言った桃菜ちゃんのことを恨んだときもあったわ」

「わたしも無責任な発言をしました…本当にすみませんでした」

「違うのよ。桃菜ちゃんは悪くないわ。それにはじめは順調でね、本当に野球ができるようになるってわたしもうれしかったもの。それにわたしだって結局野球をやりたいっていったあの子のことをとめることができなかった」

「大輝は…今は」

「あれから治療に専念してね、みるみる回復したわ。それでも激しい運動はだめって言われてるんだけど、そのあとも大学をでていまは就職もして…。でもみてて思うわ。あの子は高校生のときから時がとまってる。なにをしてても楽しそうじゃない。無理して笑っているって。桃菜ちゃん、今の大輝を救えるのはきっと桃菜ちゃんしかいないわ。だからお願い、どうか大輝を助けて」


おばさんはそういうと深く頭を下げた。

「…わかりました。大輝のこと必ず助けます。夢を追いかけて輝いていたころの大輝にもう一度してみせます!」

「桃菜ちゃん、ありがとう」

顔をあげたおばさんは少し涙ぐんでいたけど、うれしそうに笑ってくれた。

やっぱり大輝に似た優しい笑顔だった。


そのあとおいしいケーキと紅茶をごちそうになり、私は家をでた。