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「明日は準決勝だ。今日は各自ゆっくり体を休めて明日に備えてほしい」
監督の言葉とともに今日の練習も終わった。
ゆっくり体を休めて。
そう言われたけど選手たちはまだこれから練習する気満々にみえた。
わたしもここ最近ずっと頑張ってきたみんなの姿をみてきたからゆっくり休んでほしいなと思う。
でもあと2回勝てば甲子園という道もみえてきたのだから仕方ないかとも思う。
「ごめん、俺今日は帰るわ」
「おう。今日は大輝のおかげで勝てたようなもんだからな。ゆっくり休んでくれ。…木下さんも今日はお疲れ様。大輝と一緒に帰って大丈夫だよ」
「え…あ、うん。じゃあ…お疲れ様でした」
てっきり大輝も練習に参加すると思ったし、わたしもなにかサポートできるならしてあげたいと思ったんだけど。
でも大輝のことも心配だったので上野くんの言葉に甘えて帰らせてもらうことにした。
外はもう真っ暗で、少し蒸し暑かった。
夏が近づいてきているんだなと感じた。
学校からの帰り道、お互い無言のままゆっくりと歩く。
大輝が右足をかばっているように歩いてるのがわかったけど、なにもいえなかった。
本当は今日の試合の興奮とか嬉しさとかたくさん共有したかった。
なにより大輝に「おかえりなさい」といいたかった。
でもなんだかそういう雰囲気じゃないようにも感じた。



