そのあとのことはあんまり覚えていない。
ただ逆転し、守りぬいた大輝たちは5対6という結果で勝利を果たした。
みんなが喜ぶ姿が目の前にある。
優勝したわけじゃないのに、わたしは泣きそうだった。
大輝がこの舞台に戻ってきた。
練習ではなくて、高校野球という舞台に。
2年前は当たり前だったことなのに、大輝はそれができなくなっていた。
────「可能性はゼロじゃない、でも奇跡が起きない限りは無理みたい」
おばさんからそう告げられたあの日。
泣き叫んでしまいそうな心を必死に抑えた日。
あの日から1年半、大輝は戻ってきたのだ。
それだけでわたしはうれしくて、もうなにもいらないと思った。



