あの夏、わたしはキミに恋をした。


「木下桃菜です。茉奈ちゃん、朱里ちゃん、改めてよろしくね」

「「桃菜先輩、よろしくお願いします!」」

堅苦しいのは嫌いなので、はじめから下の名前で呼び合おうと提案した。

いま思えばわたしって後輩と呼べる子と仲良くなったことがなかった。

部員の年下の子たちはみんな「木下先輩」だったので下の名前で呼ばれることがうれしくてなんだかくすぐったかった。


「じゃあまずはこれを渡すね。全然はじめから覚えなくても大丈夫だから」

そういうとわたしはノートを2人に渡した。

これはわたしがマネになったときに歴代の先輩がつくってくれていたノートにプラスして自分で作ったもの。

それにはマネの仕事はもちろん、部員たちの情報もかいた。

わたしがマネになってからこういうのがあればいいのになと思ったことをとにかく詰め込んだノートだ。


「うわぁ、すごい」

2人はノートに釘付けになってくれたのでよかった。

「とりあえず今日はノートみながら一緒にやろう」

本当は、今日はノートをみる時間にしてわたし一人で仕事しようと思ったんだけど、新しく入ってきた1年生たちがすでに練習に参加していて大変そうなのでわたしも手伝ってもらうことにした。