「木下さん」
「…上野くん、もしかして聞こえてた?ごめんね。大丈夫だよ、わたしは大丈夫」
そう言い自分に言い聞かせても思わず泣いてしまいそうだった。
大輝のあんな姿をみたのは怪我してすぐのころわたしを追い返そうとしてきたとき以来だったから。
「木下さんが思う通りだよ。あいつちょっと最近思うようにいかないことも多くて。木下さんに八つ当たりしたんだと思う」
「うん…」
「そんなに焦らなくたってまだ大丈夫なんだけどな。木下さんごめんな、俺からも謝る」
「そんな、上野くんは何も悪くないよ」
頭を下げてくれた上野くんは何も悪くない。
悪かったのは、何も知らなかったわたしのほうだったよ。



