あの夏、わたしはキミに恋をした。



「どうしました?」

「マネージャーがちょっと大変そうだから手伝ってくれないか」

「あ…でも…」

大輝は先ほどまで練習していたほうをみて顔を曇らせる。

それはそうだ。

大輝はおくれをとっている分、今が頑張り時なんだから。


「先生大丈夫ですよ。大輝、戻って?」

「いや、だめだ。監督命令だ。わかったな?」

「…はい、わかりました」

大輝はしぶしぶといった感じだったけれど結局わたしの手伝いをしてくれることになった。

正直確かに手はほしかったけれど、でもそんなの大輝じゃなくて1年生だっていいのに。


「…ごめんね」

「桃菜が謝ることじゃないよ。監督命令だし」

「…実はね、大輝のことがちょっと心配になって」

「心配?」

「なんか無理してないかなって…それで先生に相談したらこんなことになったの。だからわたしのせい、ごめん」

「そっか、いいよ。大丈夫」

「大輝、本当にだいじょ…」

「大丈夫っていってるだろ!!」

わたしの言葉にかぶせるように大きな声をだした大輝にびくっと体が反応する。

近くにいた1年生数名がこちらをちらちらとみていた。


「…」

「ごめん、頭冷やしてくる」

大輝はいらだった様子で水道へと向かった。