あの夏、わたしはキミに恋をした。


「桃菜は?」

「ん?」

おうちでの出来事を思い出していて大輝の話をちゃんと聞いていなかった。

「いや、桃菜のお母さんがこんなに料理うまいんだから、桃菜も料理したりするのかなって」

「ああ。うん。たまにするよ。お母さんがパートで遅いときとかに。お母さんほどうまくないけどね」

「食べたい!」

「え?」

「桃菜の手料理食べたい」

大輝の突然の大きな声にちょっとびっくりしながら、大輝の言葉を頭の中で再生する。

「え、あ、でも…そんなうまくないし…」

「俺より絶対うまいし。桃菜の作ったお弁当食べたい。だめ?」

だめ?と聞きながら「だめ」ということは許さないという圧を感じて笑えてくる。