あの夏、わたしはキミに恋をした。


「木下さん」

水分補給のために飲み物をつくっていると聞き覚えのある声がした。

「キャプ…冴島先輩、お疲れ様です」

「お疲れ」

「練習みにきてくださったんですか?」

「そう、息抜きにね」

冴島先輩は約1か月後に迫った大学試験に追われていて大変そうだと大輝から聞いていた。

確かに若干疲れているようにみえるし、目の下のクマが気になる。


「これね、俺てきにはちゃんと寝てるつもりなんだけどね。やっぱりわかるよね」

視線を感じ取ったのか先輩がそういうので慌てて「すみません」と謝る。


「いいのいいの。俺マジで野球しかやってこなかったからさ、今更後悔してめっちゃ勉強してて」

「…大変ですよね」

「大変。でもまあ野球やってた頃は楽しかったから。しかたないよなって」


先輩の目線の先には今も必死で練習をしている部員たちがいる。

そんな姿を先輩は優しそうな目でみていた。