「上野、くん」
「うん」
「大輝が、大輝が、走ってる」
「うん」
大輝はそのままホームベースへと戻ってきた。
そしてその足でわたしの元へとやってくる。
冴島先輩もボールをとってきたあとこちらに向かって走ってきた。
「大輝みろよ、木下さんかたまっちゃってるよ」
「おーい、桃菜―!」
大輝から顔をのぞかれはっとして大輝の顔をみた。
その瞬間自分の目から涙が落ちるのがわかった。
「ごめん、驚かせたかったんだ。だから桃菜にずっと黙って練習してた。冴島キャプテンと上野に手伝ってもらって」
「もう人づかい荒いよな、俺なんて受験生なんだぜ?」
「俺だってあのきつい練習のあとに夜合流して手伝ってたんですから」
「そういいながら2人ともノリノリだったくせにー」
そういってけらけらと笑っている3人をみながらわたしはまだなお放心状態だった。



