あの夏、わたしはキミに恋をした。


「でも、中学のときの桃菜がいたから今の桃菜がいるんだよね」

「…え?」

「桃菜が今水上くんのため、野球部のために頑張ってることの意味がやっとわかった気がするよ」

遥はそういうと微笑んでくれた。

「中学生の桃菜がバドミントン選手という夢を諦めるしかなかったのは許せないけど、でもそのおかげでわたしと桃菜は出会えて、水上くんという素敵な彼氏もできて新しい夢もできたんだなって」

本当によかったよ。

遥の言葉はとてもやさしくて心地よかった。

あの頃は憎むことしかできなくて、さっき優樹菜たちにあったことでまたあの頃の記憶が蘇って憎かった。


でもそうなんだ。

あの頃のわたしがいるから、今のわたしがいるんだ。

あの頃のわたしが夢を追いかけるのを諦めたんじゃない。

こうして大輝のために、野球部のために、一緒に夢を追いかける未来があったからわたしはあの頃夢を捨てたんだ。

そういう風に思えることができた。


「遥、ありがとう」

「ううん。わたしもえらそうにいったけど、桃菜と同じような経験あるよ」

「え?」

「わたしの話は長くなるからまた今度ね。でもね、わたしもあのときのことがあったから巧と出会えて、こうして桃菜にも出会えたんだ。だから今は憎かった子にも少し感謝しなきゃなって感じ」

「遥は…強いね」

「ううん。弱いよ、でも強くしてくれたの。巧が。巧にはこんなこと言わないけどね」

遥のキラキラしている姿をみていると、巧くんの存在ってすごく大きいんだなって感じる。

遥はよく「愛の力」なんて口にしてちゃかしてくるけど、間違ってないんだな。