あの夏、わたしはキミに恋をした。



「ああ、なんか卵焼き食べたらどうでもよくなっちゃった。ちょっと巧のところいってきてもいい?」

「うん、いってらっしゃい」


あの姿をみると大丈夫だと安心する。

遥には笑顔でいてほしいから。



ザーザー

一人になってなにもすることがなくぼーっと外を眺める。

相変わらず雨は降り続いていて今日もこのまま帰りまでやむことはなさそうだ。



「木下」

うとうとし始めた頃、ふいに後ろから名前を呼ばれ振り向く。

意外な人物にわたしの眠気は一気に吹っ飛んだ。