あの夏、わたしはキミに恋をした。


「それにな、俺思ったより後悔してないんだよ。100%だしきって負けたからかな。それにはじめてだったよ、試合でホームランを打ったのは。
俺、みんなからすごいうまいって言われてただろう?でもホームランなんてはじめてだった。打った時、逆転したときのあの歓声は忘れられない、あの感覚は忘れられない、あの興奮は忘れられない。俺はこの先一生あの瞬間を忘れないと思ったよ」

「キャプテン…」

「俺な、大輝が入ってきたときこいつには負けたくないって思ってたんだ。野球が抜群にうまくて、1年からレギュラーにも選ばれてさ。こいつは野球をやるために生まれてきたようなやつだと思ったよ」

「まあ何が言いたいかっていったらな、お前が不安な気持ちでいっぱいなのは監督だってほかのみんなだってわかってるよ。だからさ、もっとさらけだしてもいいんじゃないか。もっと弱音を吐いていいんじゃないか。もっと周りを頼ってもいいんじゃないか。誰もお前のこと置いていったりしないんだから」

大輝には俺が味わったような感覚を、興奮を、感じてほしい────。

キャプテンはそういうと「ごめん話しすぎたな」「あとはよろしく」とわたしに声をかけるとお店のほうへと戻っていった。


「…やっぱ俺あの人と一緒に野球やりたかった」

「…うん」

「あのとき野球をやめることより続けることを選んだんだから、自分で頑張るって決めたんだから、弱音なんて吐いてる場合じゃないって思ってた」

「うん」

「でも違ったんだな。俺ってやっぱりだめだわ」

「そんなことないよ、大輝は大輝なりに考えてたでしょう?」

「それはそうだけど。結局みんなに心配かけたし励まされてる。でも俺今決めたよ」

「ん?」