あの夏、わたしはキミに恋をした。


しばらく無言が続いた。

窓の外をみると見慣れない町が続いていた。

「先生」

沈黙を破ったのは大輝だった。

「なんだ?」

「いえ、なんでもありません」

でも結局なにもいわないままだった。

そのあとは誰も言葉を発しず、気づけば見慣れた町がみえはじめ、学校へ到着した。


「部室で待っててくれるか。みんなが戻ってきたらまた声かけるから」

わたしたち部室近くに降ろすと、先生はそのまま駐車場のほうへと向かっていった。

「大輝、歩けそう?」

「大丈夫」

部室までの道はたった数メートルなのに、やけに遠く感じる。

大輝が今なにを考えているのかわからない。

でも大輝が話したくないないなら、私も無理に聞かない。

わたしたちはそのあとも先生に声をかけられるまでずっと無言だった。

今まで一緒に過ごしてきて、こんなにも話さないのは初めてのことだった。