あの夏、わたしはキミに恋をした。


握っていた手が強く握られた。わたしも握り返す。

まさかここで負けるなんて思ってもいなかった。

去年は5回戦で敗退。
今年も同じくらいまでは進めるかそれ以上かなって思ってた。

みんなあれだけ頑張っていたのに、それなのに。


「ありがとうございました」

選手たちが泣いているのがみえる。

去年の大輝と重なって大輝のほうをみると静かに涙を流していた。


「大輝…」

「悔しいなっ、すごく、くやしい」

「…うん」

「早く足治して、先輩たちが甲子園いったとき、せめて一緒に練習したかった。先輩たちとあれから一度も野球できずに終わった、くやしい」

はじめて聞いた大輝の本音だった。

もちろん足を早く治したかったのはわかってた。
でもそれは来年のためじゃない。

大輝は先輩たちと夢を追いかけたかったんだ。

わたしはなにもいえなかった。

ただ静かに涙を流す大輝のそばにいてあげられることしかできなかった。