あの夏、わたしはキミに恋をした。



「ねえ聞いてよ巧がさー!」

「また喧嘩したの?」

「違うの、今回はまじであいつが悪いんだもん!」

仲がいいんだか悪いんだか。

最近しょっちゅう彼氏と喧嘩している遥。

でも喧嘩するほど仲がいいっていうし、こうやって愚痴っても次の日にはけろっとしてるんだから大したことじゃないんだろうなって思う。


「ほらこれでも食べて元気だして」

そういいながらわたしのお弁当に入っていた卵焼きをひとつ遥のお弁当に置く。


「ええ、いいの??ありがとう、本当に桃菜のお母さんの卵焼き日本一だと思う。間違いないよ」


さっきまで散々愚痴をいってぷんすかしていた遥は一転、とても笑顔で嬉しそうだ。

むしろこれ狙いでわざと機嫌を悪くしてるんじゃないかと疑うほどだ。