「なに話って」
「もうやめないか」
「何をよ」
「モモカから電話があった、今度一緒にご飯食べないかってそれはいい。でもモモカにまで話したのか」
「モモカは勇斗の友達でもあるけど私の友達でもあるからなに話してもいいじゃない」
「あぁ、なんでも言えばいい、俺が知ったこっちゃないから、でもな何度も言うけど俺の気持ちは変わらない」
「梨沙子」「勇斗」
やっぱり先生同士以前に何かある。
盗み聞きはしてはいけないけど気になる。
「そんなに私が嫌になった?」
「梨沙子」
「私はまだ忘れられないの」
「俺が悪いのになんで忘れないんだ、俺のせいで子供は死んで梨沙子も傷ついたんだ」
「勇斗は悪くない、誰も悪くない、別れてからも勇斗のこと忘れられなかった」
「俺は忘れた」
「勇斗、」
「正確に言えば忘れないと生きていけないと思った」
「私は諦められない、親も認めてくれると思う」
「は……?」
「勇斗のことが諦められなくて説得したの。そしたらいいって言ってくれたの」
「そんなの聞いてない」
「最近返事もらったから」
「本気なのか」
「どう見たら冗談に見えるの?私は本気。私は勇斗以外考えられない。勇斗は私のこと好きじゃなくなった……?」
「もう行く」
「勇斗、考えて」
勇斗さんがこっちに近づいてくる。
階段の死角に隠れてなんとか見つからなかった。
それよりも頭がパニック状態になってる。
子供が死んだ……?
勇斗さんを諦められない………
2人は付き合ってたんだ……
愛し合ってたんだ……
梨沙子先生の好きな人って勇斗さん。
忘れられなくて苦しんでた、梨沙子先生。
その人が勇斗さん………。
勇斗さん、忘れたとか言ってたけど忘れてないよね。
忘れられるわけがないよね梨沙子先生と毎日会ってるのに。
梨沙子先生が好きか聞いた時勇斗さんはなにも答えなかった。
答えなかったってことはそういうことだよね。
勇斗さんは梨沙子先生のこと嫌いじゃない気がする………。
私は勇斗さんを好きにならなきゃよかった。
勇斗さんのそばにいちゃいけなかった。
先生に、勇斗さんに恋をする時点で間違ってた……。


