「………まぁ俺に言うわけないよな」
「いるもいないも関係ない、私が言いたいのは私に話しかけないで欲しい…………またあんなことされたくないの」


蓮が目を少し丸くて私を見つめている。


「そうだよな、もう“2度と”されたい訳………ないよな」


「“2度と”って、私が過去に暴力を受けたことを知ってるの?」


蓮は私の全てを見透かしてるようで怖くなる。


「春、杏衣がふくらはぎのアザを保健室で処置してたところたまたま見てな、あの傷は怪我とかじゃないって分かったんだよ………俺も経験したことあるから」
「蓮も……?」


「俺の親父、アメリカで大きな会社経営してて小さい時から会社継がなきゃいけないとか言われて遊べずにずっと勉強させられて、1日6時間とかノルマあってそれクリアしないと叩かれた。」
「えっ………」



「でも、耐えられなかったし、兄からもいじめられて日本に来たからもうない。でも背中だけ傷がある」
「そうなの?」


「………なにこれ………」