誠也絡みだなんて、死んでも言わない


だから、どうか気付かないで、誠也



「お前マジでドジだな〜。ほら、こい。湿布貼ってやる」



クシャッと笑って、手招きをした彼



「えー貼ってくれるの?上手に貼ってよね」


「俺をなめるなよ」



その言葉通りに、湿布は私の頬サイズピッタリで、全然剥がれてこなかった



「しばらく痛いだろうけど、お大事にな」



誠也は私の頭をポンポンと撫でて、思わず涙腺が緩む



泣いたつもりは無かった



ただ涙腺が緩んだだけで、涙は出ていないと思った



だけど


「は…お前なんで…」



いつの間にか苦しそうな顔をしていたのかな



誠也は戸惑ったような顔をして、そしてすぐに無表情になった



あ、終わった


そう直感的に思った


「さっさと出てけ」



「……え?」



「出てけっつってんだろ。早くしろ」



冷たい瞳で見られ、体が凍った



「せ…いや…?」


小さな声で呟くと、ギロリと睨まれた



いつもの誠也に戻ってくれるかなと思った



だけど、逆効果だったらしい



「俺の名前を呼ぶな」



「えっ……。ごめ…ん」



謝って、私は保健室を飛び出した



教室に戻って荷物をとり、校門を走って出る



苦しい、辛い、痛い



そうか、私、絶対に泣いちゃダメだ



少しでも泣いたらほんとに、彼はどこかへ行ってしまうんだ



彼のそばにいたいなら泣くな



それが条件だった



私はもう絶対に








……ー泣かない