耳に痛々しい音が響くと同時に、頬がヒリヒリと痛む



「あんたにはその顔が十分よ。もう二度と誠也様には近付かないで。ブスが」


彼女が屋上を去っていったと同時に腕も解放され、2人の女子も屋上を出た



残されたのは私だけ



「痛い……」


鏡持ってないや……赤くなってるかな…


とりあえず保健室行こうかな


「……」


涙が頬を濡らした


だけど、ちょうどよく風が吹き屋上を出た頃にはもう乾いてくれていた



保健室に向かいながら考える



おかしな事は言ってない



誠也は1人の人間で、誰のものとか、そういうんじゃない


私たちが勝手に決めていい事じゃない



大事なのは、誠也の気持ちだと思うから



……ガラガラ


「失礼しまーす…先生いますかー?」



しーん…



いないのかな、自分でやっちゃお



保冷剤を取り出し、少し冷やす



赤み引くといいなぁ……



椅子に座り、何故か無性に泣きたくなった



でもそれを寸止めのところで我慢する



「…椎名?なんでいんの?」



大好きな人の声がした



「えっ…誠也?どうしたの…?」


慌てて頬を抑える


「俺は膝擦りむいて絆創膏取りにきただけ。それよりお前……」


私の顔をじっと見つめて、抑えている手をそっと退かす


そして目を見開いた



「お前、どうしたんだよこれ……」



「…っなんかさぁ…ぼーっと歩いてたら電柱が前にあってガーンって…。あれは痛かったなぁ…」



上手く喋れてるかな