“鬱陶しい女は嫌い”
それってたぶん、すぐ泣く子とか寂しがる子とかだと思うから、私はそんな風にはならない
もし泣いたら、きっと誠也は私から離れていくから……
まあそんなこんなで、お互い初めての印象はおそらく“変人”
だけどそれから関わっていくうちに仲良くなった
今では、私にとっては親友かな
誠也がどう思ってるかは知らないけど
仲良い女の子はあまりいない
私が冷めた反応ばっかするから面白くないって言って離れていく
ほとんど私に責任があるけど、私にはよく分からない
移動教室の度に一緒にいって、ご飯も一緒に食べて、挙句にはトイレも一緒
そんな四六時中一緒にいたら私だったらおかしくなっちゃう
だけど、そんな私にも友達はいる
小林優奈(コバヤシ ユナ)
優奈は私の唯一の女友達
いつもふわふわしてて男女共に大人気
笑顔が可愛くて、冷たい私とは真逆
なのに優奈は私の事が好きだって言ってくれるの
「椎名!」
グイッといきなり強く横に引っ張られて、意識がこっちに戻る
……ビュッ
そして私のすぐ隣を何かが通った
「…ったく、自転車乗りながらスマホ触るとかありえねーわ、あいつ」
安堵の息を洩らす誠也に申し訳なさが募る
「ごめん、ぼーっとしてて」
「なんで椎名が謝るんだよ。悪いのはあいつだ」
「うん…ありがと」