「ただいま」



「彩、おかえりなさい。ついさっきね、彩と同じクラス?の子が、椎名彩さんいますかって訪ねて来たんだけど……」


「えっうそ…いつ?」


「5分前ぐらいよ。彩、あんなイケメン君とお友達だったのね〜」



「ごめん!ちょっと行ってくる!」



「彩っ?!……っまったくもう」



玄関を飛び出し、大好きな人の家へと向かった


「誠也っ……」



……早く……早く…会いたい



「っ…はぁっ……着いた」



私は諦めないよって



ずっと追いかけるよって



勇気を出して言うんだ



振られても、振られても、立ち直る勇気を、優奈がくれた


立ち直る意味を、教えてくれた



誠也、私はもう、何にも怖くないよ



……ーピンポーン



心臓がドクンと、大きな音を鳴らす



「はーい。…あら?あなたは……」


出てきたのは誠也のお母さんっぽそうな人だった



「こんな時間にすみません……。私、誠也……あ、風間くんのクラスメイトの椎名です。風間くん……いますか?」



「誠也?いるわよ。ちょっと待っててね」


誠也のお母さんは優しく微笑んで、少しして、誠也が来た



「椎名……」


「誠也っ……」


出てきた誠也はもう私服姿だった



「少し歩くか?」


誠也の、緊張気味の声が聞こえる


「うんっ…そうだね…」


涼しい風が吹く中で、私と誠也の足音が静かに響き始めた