誠也が優しくするから


あの温かい、私より頼もしい手が、優しく撫でたから



目の奥が熱くなって、鼻がツンってして



どうしようもなく泣きたくなった



バレて、誠也に軽蔑されて


苦しかったけど、次の日にはいつも通りで



私が男子たちに連れていかれても、誠也が私を助けに来てくれてた



そんなことされたら……我慢なんて出来なかった……



振られてもいいから


軽蔑されてもいいから


好きって伝えたい



鮮明に残る、さっきまでの記憶



誠也が苦しそうに私を見つめて、謝ってきた



告白すれば、苦しそうに私のことを振った



誠也には何か言えない大きな重荷があるって



彼の表情をみて分かった


苦しいのは自分だけじゃないって


そう分かったからこそ、嫌いにはなれない



ほんとは今でもずっと……好きなんだよっ…



胸が苦しくなって、思わず服を握る



「彩……力になってあげられなくてごめんねっ……」



「優奈っ」



フワッと、私を優奈が抱きしめて



「泣いていいんだよっ彩。……頑張ってるね…ずっとっ…頑張ってるんだね…」



そんな優しい言葉に、涙腺が緩む


「ぅっふぅ……うわぁぁ…っ…」



泣きじゃくった


優奈の服が湿ってしまうほど泣いて



その間、ずっと優奈は私の背中を摩ってくれた



「……ありがとう、優奈。落ち着いたよ」



「よかった…。もう平気…?」


「うん……。あのさ優奈…好きっていう気持ち、ずっと消えなくて……」



「うん…」



「消すにはっ…どうすればいいかなぁ…?」



私の質問に対して優奈は



「消さなくていいんだよ。大事に大事に……ずっと持ってればいいんだよ」



私の頭をポンポンと撫でて、笑顔でそう答えた