「彩!」
公園に着けば、ブランコをゆらゆらと漕ぐ優奈の姿があった
私の名前を呼んで、パタパタと私の所まで駆け寄ってくる
「あそこのベンチ座ろう?」
私の手を温かい温もりで包んで、そこまで引っ張ってくれる
「…優奈。いつもありがとう…」
ベンチに座って、なんとなくその言葉が口から出ていた
「私も。ありがとう…彩」
何も喋らない、だけど、落ち着くこの空間が好き
「あのね…優奈。私さ、誠也が好きなの」
「うん…」
私の手をギュッと握ってくれているのに安心して、私は目を閉じて話し出した……
誠也といると……どこか落ち着いてる自分がいる
最初に、席替えで誠也と隣になってから今日まで、いつの間にか誠也の存在が私の中で大きくなっていった
そして、誠也がいないと物寂しい……そんな気持ちさえ芽生えた
それが恋だと自覚するまで、あんまり時間はいらなかった
好きだって分かって、もっと誠也を目で追いかけた
誠也のことを、自分が1番知っていたいと思った
だけど誠也はきっと、自分の心に深入りしてくる人をあまり好まない
ずっと私の心にあった、誠也の言葉
“鬱陶しい女は嫌い”
私なりに……沢山考えたんだよ
誠也が思う鬱陶しいってなんだろうって
結果、それは泣き虫だったり、寂しがり屋だったり、そんな子のことを言うんだって思った
それにはならないように
誠也に嫌われないように
ちゃんと努力してきた
だけどそんな努力が水の泡になったのは保健室にいった日
あの日から私の心が暴走した
今まで蓋をしてきた気持ちが溢れだしてきた