椎名は笑った顔をしてそう告げた



だけど俺にはちゃんと分かる……



無理してなんてっ…笑って欲しくないっ…



だけどそうさせてるやつは間違いなく俺



俺が言える立場なんかじゃない



「ごめん…それだけだよ。私夜ご飯作らなきゃいけなから……!」



下を向いて走り出した椎名



今なら引き止められるのだろうか




なんて




「……っ…ダメに…決まってんじゃん」



俺の頬を一筋の涙が伝った






どうやって帰ったのかあまり覚えていない



フラフラした足取りで帰ってきたんだろう



胸が押しつぶされそうで苦しい



「誠也〜ご飯よ」



俺の部屋をノックした母さん



「ごめん、食欲無い……」



今は何も喉を通りそうにない



ベッドに寝転がり、ゆっくりと目を閉じた



椎名は言わなかった……



“またね”



期待してた



こないだすれ違った時も、1日経ったら仲直りしてたから



来たら嬉しい…なんて思って見つめてるスマホにも、来る気配はない



その変わりに……



「……なんだよ…」



『……元気ないな。何かあったか…って…あったに決まってるか』


碧から電話がかかってきた



『…何があった?お前が話せるなら、俺は相談に乗るよ。なんつったって幼なじみだからな』



「俺の……自分の弱さに……呆れてたんだ」



自然と自嘲気味の声になった



『彩ちゃんと…何があったんだ?』



「椎名が…全部俺に言ってくれた。いじめのことも…寂しかったってことも……。告白も……してくれた」